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キラキラしてて儚い。誠人が撮るから静流は輝いて映る。
山下達郎の声にのせたエンドロールまでもが最高でした。今現代では作れない味がある。

この映画の一番の魅力は広末涼子です。芯の強さと子供のような奔放さを持ち合わせながら、ふれたらスーッと消えてしまうような儚さを持ち合わせた女性。まさに広末さんのためにあるような役柄でした。今そこに存在していることが奇跡であるかのような透明感。物語は、カメラマンとしてなかなかうまくいかない誠人（松田龍平）が、彼女の記憶を辿るように進んでいきます。そのひとつひとつのシーンが、風景が、とても儚く美しい。写真をテーマにするのは、映画監督としても相当なプレッシャーがあったはずですが、あえてフィルム感のある粗めの画を採用し、そこにみずみずしい世界観を描けていたと思います。フィルムの魅力って、こういう儚くて優しい光だよなあ。過去を追憶していくストーリーととても調和していました。ストーリー上はそこまで重要ではなかったんですが、個人的には同窓会のシーンは印象的でした。自信たっぷりに今の自分を語る同級生を見て、同窓会に来る人は過去を懐かしむためにくるんじゃなく、今の自分を誇るために来る。そういう物語を持っているものが来る場所であって、カメラマンとして鳴かず飛ばずの自分はお呼びじゃないんだなと、誠人が孤独を感じるシーン。ついつい自分に重ねてしまいました。自分の才能を信じきれなくて、でも信じたくて。恋人であるはずの静流と圧倒的なさを見せられて、勝手に傷ついて、酷い言葉を浴びせかけたりして・・・。ものすごくダサくて、恥ずかしい過去が描かれているんですが、そんなダサさが愛おしくなるほどに自分も年を取ってしまったんだなあとしみじみ思ってしまいます。

この映画を観に行った理由は、堤幸彦監督作品だったからです。ドラマ『愛なんていらねえよ、夏』の素晴らしい映像美に魅せられて、ファンになりました。同時に、主役がどちらも広末涼子さんだったので、とても楽しみにしていたのです。想像通り、映像がとても美しい映画でした。特に、松田龍平さんがニューヨークへ行ってからの景色にワクワクしました。堤幸彦節が効いていて、お洒落で、美しかった。監督が広末涼子さんの大ファンなんだと思わずにはいられないほど、カワイイ広末さんがいっぱいでしたし、その魅力に圧倒されているだろう、松田龍平さんも良かったです。まだ若い時で、まつ毛もくりっとしていて可愛らしい。キレイな映像美とは打って変わって、ラストシーンへと近づくほど、どんどん辛くなっていきました。「ん？こんな展開になる映画だったの！？」とビックリするほど、急降下へまっしぐら。私は正直、観ていてつらくなりました。信じたくなかったんです。私はどうしてもハッピーエンドだと信じて観ていましたから、だれが想像しましたか、こんな結末。たとえ別れたとしても、好きな人にはずっと幸せでいて欲しい、そう望むものです。主役を演じる、松田龍平さんの強い温かい想いが、最後に伝わってきた、そんな映画でした。

プライドが高くて所属先を解雇されたばかりの瀬川誠人に松田龍平、海の向こうで華々しく活躍して自らの個展まで開催するほどの里中静流に広末涼子。大学生時代に出会って同じ目標に向かいながらも正反対の道のりを歩んでいくカメラマンを、当時はまだ20代前半だったふたりが初々しく演じていました。ある日突然に舞い込んできた静流からの手紙を頼りに、会えるはずのない彼女を追いかけていく誠人の後ろ姿が胸に焼き付きます。短くも幸せだった恋人同士の時間、静流だけが脚光を浴びて誠人は才能を認められないコンプレックス、別れ際に交わした約束。手紙の中に同封されていた写真の風景を辿っていくうちに、思い出したくもない記憶が誠人の頭の中に流れ込んでくるようで幻想的です。はるばるニューヨークへと降り立った誠人が、同時多発テロ事件の現場で笑顔を浮かべながら記念写真を撮る日本人観光客と鉢合わせする場面も印象的でした。写真が人間の心を動かす素晴らしさばかりではなく、カメラを向けることが時と場合によっては暴力へと変わってしまうことも考えさせられるでしょう。写真が映し出す真実を見逃さないようにしつつ、誠人は静流と再会することができるのか見届けてください。

松田龍平さんと広末涼子さん主演の恋愛映画です。監督が堤幸彦さんということで、一風変わった作品になっていてなかなか楽しめました。広末さん演じる静流の面影を探しながら生きる男性に松田さんの儚げな表情がとても良かったです。その他にも写真をとって貰いながら、いきなり男性を殴る広末さんの笑顔は特別可愛らしかったです。ただ劇中に出てくるマヨヌードルという、カップヌードルにマヨネーズを入れる辺りだけはちょっと引いてしまう場面でした。堤監督なのできっとそういった不思議シーンは出てくるんだろうなぁと思いながら見ていたのですが、本当に出てくると驚きます。この映画の舞台は半分くらいがアメリカでの撮影だったようなので、かなり異国感漂う日本映画というなんとも相容れない映像が沢山あり視覚的にもとても面白い映画でした。中でも松田さんの流暢とは言えない英語を話すシーンなどはなかなか見応えがあります。全体を通して、広末さんの美しさと透明感が際立った美しい仕上がりになった映画だったと思います。思いっきり恋愛な映画ではありませんが、ギャグありの良い映画だったと思います。面白かった映画の1つです。静流の死んだと噂を聞いただけで、かつての恋人を探しに行くその話はまたリアルで素敵でした。面白かったです。