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ラブストーリー・ラブコメ
『ジョゼと虎と魚たち』劇場予告編

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ジョゼと虎と魚たち(映画)の内容

映画『ジョゼと虎と魚たち』は、2003年12月にPG12指定作品として公開されました。

芥川賞作家・田辺聖子さんによる同名の短編恋愛小説を原作に、監督・犬童一心さんと脚本・渡辺あやさんよって製作されました。このタッグは本作の2年後に公開された映画『メゾン・ド・ヒミコ』も手掛けました。

物語は、足の不自由なジョゼとごく普通な大学生の切ない難しいテーマを持ったラブストーリーを描いており、ジョゼ役を池脇千鶴さん、大学生の恒夫役を妻夫木聡さんが演じました。ほかには上野樹里さん、新井浩文さん、新屋英子さんなどが出演しております。

また、本作は2020年12月には中川大志さんと清原果耶さんによる劇場アニメが公開されるなど、長きに亘って愛され続ける作品です。

正直、ジョゼのようなピリついた女性は苦手ですが、そういった女性が美味しい料理を作ると、なぜかキュンとするのがわかります。

二人が恋人関係になってからラストまでの展開が最高に良い。みんなの気持ちが分かるし、最後の最後まで素晴らしい作品です。

アニメ映画の試写会が当たったので、復習を兼ねて再鑑賞。自分が大人になったからなのか印象が全く違って観れました。きれいごとだけじゃなく、人としての本音の部分が鮮明に描かれているのがとても良かった。

見どころは妻夫木くんのねちっこいキスと、くるりの主題歌。見る度に胸が苦しくなるけど、何度でも観たくなる作品。

あらすじ

雀荘でバイトする大学生の恒夫(妻夫木聡)は、明け方に乳母車を押す奇妙なお婆さんの存在を知ります。マスターが犬の散歩をしていると、乳母車を押す老婆(新谷英子)を目撃し、近寄り中を覗くと包丁を持った少女がいました。

老婆は彼女の祖母であり、足の不自由なジョゼ(池脇千鶴)が外に出たがるため、人通りが少ない朝方に散歩をさせていたのでした。そんなジョゼに恒夫は興味を抱き家に通い始めます。

彼は大学では香苗(上野樹里)に好意を寄せ、セックスフレンドのノリコ(江口のりこ)もいるなど優しくて女性関係にだらしない平凡な青年です。一方のジョゼは憧れである外の世界を見せてくれる彼に心を開いていきます。

そして、二人はジョゼの祖母の死をきっかけに身体を重ね、恋人関係になるのでした。恒夫はジョゼの「好きな人ができたら世界で1番怖いものである虎を見に行く」という夢だったり願いことを少しずつ叶えていくのですが…。

見どころ

固定概念をぶち壊す

主演のジョゼを務めた池脇千鶴さんの演技が素晴らしいのはモチロンですが、今までにない障がい者像を表現したのが高く評価されている要因となります。

物語の展開としてジョゼが泣いたり身を引いたりする場面でも、挑発的な態度を取ったり健常者に対しても一歩も引かない姿がそこにはあります。

固定概念的な障がい者像をぶち壊してくれた、そんな作品に仕上がっております。

愛され続けるラブストーリー

本作がチープなお涙頂戴映画にならなかったのは、先ほどの固定概念をぶち壊したことによるものもありますが、人間の弱さだけでなく強さもリアルに詰め込んだラストに詰め込まれております。

とても切なく美しく、そして優しい。綺麗事ではないそのリアルなストーリーが今でも多くのファンから愛され、この物語を支えるフード演出、小道具、衣装、そしてエンディングのくるり「ハイウエイ」と見所がぎっしり詰まった素晴らしい作品。

ただの障がい者映画でなく、本格的な純愛ラブストーリー。本作はこれからも多くの人から愛されることでしょう。

スタッフ

原作:田辺聖子
監督:犬童一心
脚本:渡辺あや
助監督:五十嵐昭徳
プロデューサー:久保田修・小川真司
編集:上野聡一
音楽:くるり
主題歌:くるり「ハイウェイ」

キャスト

恒夫:妻夫木聡
麻雀屋でバイトしている楽観的で大雑把な性格の大学4年生。優しい人柄だがエッチなことが好きで、女性関係において少々だらしない。

ジョゼ:池脇千鶴 / 菅野莉央(幼少時)
足が不自由。料理が得意で、趣味は読書と散歩だが、外の世界をほとんど知らない。

香苗:上野樹里
福祉を学んでいる恒夫と同じ大学の同期生。ジョゼの生活について相談を受ける。

ノリコ:江口のりこ
恒夫のセックスフレンド。

隆司:藤沢大悟
恒夫の弟。恒夫に比べるとマメな性格。

ジョゼの祖母:新屋英子
ジョゼと二人暮らしで質素な生活を送る。

幸治:新井浩文
自動車整備士として働く、ジョゼを昔から知る人物。

恒夫の友人:井本貴史

金井晴樹:藤原一裕

現場主任:板尾創路

本屋店員:荒川良々

少女フキ:森本更紗

近所の中年男:森下能幸

恒夫の先輩社員:佐藤佐吉

麻雀屋マスター:陰山泰

麻雀屋の客:真理アンヌ / SABU / 大倉孝二 / 中村靖日 / 西田シャトナー / 遠藤雅伸(ゲーム作家) / 山本浩之(当時・関西テレビアナウンサー)

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ジョゼと虎と魚たち(映画)の感想

40代女性
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車椅子の女の子と、どこにでもいるちょっとチャラい普通の大学生の男の子の恋の話。ただ、障害者と聞いてイメージされるような儚げな線の細い女の子ではありません。ジョゼはとにかく口が悪いのです。真っ直ぐで正直。そしてピュアです。ブスッとして上目遣いで下から睨みつけるような野良猫のような目をしたジョゼ。でも笑うとパァッとまるで花が咲いたように可愛いです。ジョゼの役を池脇千鶴が演じています。大学生の男の子の役を妻夫木聡。足の悪いジョゼをおんぶして2人が海ではしゃぎながらデートしているシーンが一番好きです。可愛くて若い。そしてジョゼの気持ちを思うと胸が痛くなるように切なくなりました。(もしジョゼに「切ないね。」と言ったとしたら、きっとジョゼは「うるさい黙れ!」と言うだろうと思いますが。)今日という日はもう二度と度来ないし、その日に吹いていた風もその瞬間の気持ちも再現出来ないけど。誰かを好きだったあの一瞬の気持ちはずっと消えないのだなと。恋なんて遠い過去となった自分でも思いました。妻夫木聡は普通の男の子役が最高にうまい役者さんです。そのへんにいるお兄ちゃん役をやらせたら右に出る人はいないでしょう。あんなにイケメンなかなかいないはずなのに不思議。セリフ回しや仕草に普通の男の子らしいリアリティがありました。彼が泣くシーンで自分もわんわん泣いてしまいました。恋って切ない。若いって切ない。でも生きていく力強さを感じました。

50代男性
50代男性

多様性のある社会が訴えられている時代だからこそ見て欲しい傑作映画です。原作は芥川賞作家で恋愛小説で有名な田辺聖子さん。古典にも通じた方のせいか、この作品にもどこか古典に通じる無常観のようなものがあります。監督は「のぼうの城」の犬童一心さん。何といってもこの映画で一番心を奪われるのは、ヒロインでジョゼを演じる池脇千鶴さんでしょう。時代設定が今よりもずっと障がい者に偏見が多かった頃で、足が悪くて閉ざされた世界しか知らないジョゼが、恋愛をすることで広い世界に目を向けられるようにはなるけど、その先にはただ違う種類の偏見や摩擦があり、それでもひとりの人間として自立していく姿を、池脇さんが素晴らしい名演を見せてくれます。池脇さんの女優としての才能と持って生まれた可愛らしい雰囲気のすべてが、このジョゼという薄幸な女性を生き生きとした姿として表現し尽くしている感じがします。また相手役である恒夫を演じる妻夫木聡さんの若さ溢れる情熱とそれゆえの愚かさもよく表現されていて、無邪気さの向こう側にある残酷さを象徴する形になっています。ちょい役ですが、これが映画初出演となる上野樹里さんが、印象に残る嫌な役柄を演じているのも見どころのひとつです。

40代女性
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冬に観たくなる映画の代表作。私が印象に残っているシーンが、池脇千鶴演じるジョゼと、妻夫木聡演じる恒夫が海に行ってはしゃぎあうところ。外はすごく寒そうなんだけど、二人の笑顔が本当にキラキラしていて楽しそうで。その一瞬に輝く幸せというか、儚さがこの場面から伝わるものがあるんです。この映画の全体像を物語っているような、そんなシーンです。名作だと思う。恒夫はきっと、どうしようもない大学生で、興味本位でジョゼに近づくんでしょうけど、ジョゼはちゃんとそれを分かっていて恒夫と付き合うんです。ジョゼの方が大人で頭がいい。ジョゼは歩けない体でいつも乳母車に乗っていて、半分人生を諦めたような物言いをするんです。何かを悟ったように。大学生の恒夫は雀荘でアルバイトする、イマドキの大学生。この二人の出会いが、何か非日常のようで、田辺聖子さんの小説が原作というのがうなずけました。この映画は、お話がとっても切ないんです。描写が美しく、一瞬一瞬が繊細。映像もストーリーとは打って変わってリアルだと思います。ウソがないというか。それはきっと、主演の妻夫木くんと池脇千鶴ちゃんの演技が素晴らしいからだと思います。冬の匂いがツーンと鼻にくるような、そんなリアルさが画面から伝わります。本当に良い映画です。

20代女性
20代女性

「ジョゼと虎と魚たち」は、小説家田辺聖子さんの短編小説を映画化した作品です。脚が悪く、車椅子での生活を余儀なくされていたジョゼという女の子と、大学生の青年恒夫が出会い、悩みすれ違いながら、惹かれ合うストーリーです。映画の前半は、不自由な脚のせいで外の世界をあまり知ることができ出来ず、風変わりな印象の強いジョゼに良い印象を持つことはできませんでした。わがままで自分の中に闇を抱えているような性格に、恒夫と同様、戸惑いがありました。しかし、恒夫に連れられて外の世界を見ることにより、少しずつ心を開いていくジョゼが、とても愛おしく感じるようになりました。人間の弱い部分を印象的に表現しており、繊細で悲しみを抱える2人が、支え合い共に生き始める様子に心打たれる作品です。主演である池脇千鶴さんと妻夫木聡さんの2人は、ジョゼと恒夫の印象にとても合っていました。とくに池脇千鶴さんの、作り込まれているのに感覚的で素朴な演技は、映画の中の人物なのに、とても愛おしくハラハラと見守ってしまいました。変わった設定ではありますが、2人の俳優の演技や、可愛らしさの中に繊細な印象を受ける台詞などに、シンプルで飾り気のない魅力を感じることができる映画です。

60代女性
60代女性

最近、テレビを見ていたら、「ジョゼと虎と魚たち」のアニメが公開されると宣伝されていました。この作品は田辺聖子さんの短編小説で、10年以上も前に実写化されていて、主人公は池脇千鶴さんと妻夫木聡さんが演じておられました。アニメの番宣を見たときに、またやるんだなという感じでした。主人公は、おばあさんと二人で住んでいて障害者で歩けません。学校にも行ってなくて、外にも一人で出て行くことができませんが、家の事は料理が得意な女の子です。そんな中、 ふとしたことで大学生の男の子と出会うことになり、交際の始まります。初めは、 お互い物珍しいのもあって順調に交際をしますが、大学生の田舎で法事があり一緒に九州に旅立とうとした時に、 二人ともが相手の世界に入ることができないと思い、別れることになりました。最後の場面で男の子の方は泣き崩れ、女の子は手押しの車椅子から電動車椅子に乗り換えて街に颯爽と行ク場面で終わりました。あれを見て、やはり「女の子の方が強いのだなぁ。」と感動したものです。私も車椅子に乗っていますから、二人の気持ちがよくわかります。女性ですから女の子の主人公の気持ちの方がよく分かりますが、私はそこまで割り切って強くなれないと思いました。しかし、 大学生の男の子の気持ちもよくわかりますが、自分で抱えきれないものは仕方がないので泣くことはないとは思いました。世間では、こういうことを「障害者の女の子を棄てた。」ということになると思いますが、これは何も責任感がないとか、逃げたことでないと思います。よく考えると、人種の異なる人との交際の難しさと似てるような気もします。こう言うと、そんなことはないという方も多いと思われると思いますが、よっぽどの縁があるのなら別として、生きている世界が違う人同士が添い遂げることの難しさはいろんな場面にあると思いました。どちらにしても、人の悲しみの上に幸せを作らないようにはしないといけないと思いますが、添い遂げるなら、相手に100%合わせるのではなく折り合いをつけながら、また一人で生きていくにしても、寂しさも楽しんでいける強さを持っていることが大事だと思います。

30代女性
30代女性

好きな方がTOP5に入るであろう映画『ジョゼと虎と魚たち』。好きすぎて、DVDも本もくるりのサントラも持っている…。2003年に公開されてもう15年以上が経っているにも関わらず、いまだに折にふれてDVDを見返すし、サントラをかけては映画『ジョゼと虎と魚たち』の世界に浸っている。私にとってはそんな特別な映画。なんていったってキャストが最高で、それはキャスティングももちろんだし、各出演者のでこぼこした愛すべきキャラクターも最高としか言えない。主演の妻夫木聡と池脇千鶴はいわずもがな、初々しい上野樹里と新井浩文、若手のはずが初々しさはなく今も健在な強烈な存在感を放つ江口のりこのキャスティングがもう最高。私がこの映画を愛する理由とはまたちょっとかけ離れるが、江口のりこファンは絶対に見たほうがいい一本。脇を固める個性派ベテラン勢も相まってキャスティングを見るだけでも、あぁ絶対いい映画だよなという安心感がある。そしてこの映画の一番の魅力は池脇千鶴演じる強情で不思議ででもまっすぐなジョゼと、妻夫木聡演じるやさしいんだけど情けなくて正直で等身大の恒夫この二人の掛け合いだと感じている。ジョゼのちょっとあまい声ではっせられるきつい言葉、恒夫のやさしいんだけど自分の気持ちを隠せなくて情けなく下がった眉毛、キッチンではジョゼが主導権をとり、動物園や海でのデートでは恒夫が主導権を…というやり取りが本当にこころがあったかくなったり、ぎゅっとなったり、切なくなったり忙しい。そんな魅力的な二人を見守った後のエンディングがまた秀逸。

40代女性
40代女性

私の好きな作家である田辺聖子さんの小説が元になっていると知り、どんな内容か気になって観た映画でした。原作は読んでいなかったので、他の田辺作品のような関西が舞台の人間味溢れるほっこりしたストーリーというイメージを持っていました。それが、冒頭部分から思っていた感じとは違う空気を醸していたので、正直なところ驚きました。まず、主人公の恒夫とヒロインのジョゼとの出会いが衝撃的でした。ジョゼは足が悪く自分で歩くことができないので、外に出るときは祖母が押す乳母車に乗って移動しています。それも毛布に隠れて包丁を持ち、人を警戒するように。若い娘でしかも障害があると知れると何をされるか分からない、そんな警戒心が痛々しくもあり、強い意志のある女性にも感じました。そして、普通の人なら警戒されている相手には近づきがたく感じて離れるところを、恒夫はかえって興味を持って関わっていく、この二人のアンバランスさゆえの惹かれあう感じがうまく恋に発展して、ドラマティックを演出しているように思いました。恒夫は、同じ大学に通う彼女の香苗と、他にも体だけの付き合いの女性がいて、性に対して軽いノリの性格ですが、ジョゼとは真剣に向き合っている様子が次第に感じられて、応援したくなっていきました。途中、悲しく思ったのは、香苗がジョゼに怒鳴る場面です。福祉の仕事を目指し、恒夫がジョゼの力になろうと頑張っていることに理解を示していたにも拘わらず、恒夫がジョゼと付き合い始めた途端、本音を明らかにするところがとても恐ろしく感じました。時代的なものかもしれませんが、一見優しそうな人が内に持っている差別や偏見が一番怖いような気がします。終わりに進むにしたがって、恋愛を心身ともに味わって自分の願望に正直になるジョゼに対し、責任の重さや自分の弱さに気づいていく恒夫の心模様がずっしりと心に響きました。健常者と障害者という関係に限らず、誰にでも起こりうる恋愛と結婚の違いや現実問題との向き合い方など、深く考えさせられる映画だったと思います。

10代男性
10代男性

この物語は、恒夫と障害を持ったジョゼがひかれあいながらも、現実の壁に阻まれて分かれていく切ない恋愛物語である。この愛は若さゆえの情熱的な愛、成熟している愛ではなく未熟な愛という印象だ。恒夫はジョゼと会う前、ノリコと体だけの関係を持ちながら、ほかの女性に近づくなど、女性との関係を軽く楽しんでいた。ジョゼと出会った後は真剣に向き合う様子が見られるが、ジョゼに迫られた際、結局体の関係を結んでしまう。恒夫はその軽薄な行動や感情を捨てきることができないでいる。またジョゼは恒夫との別れの予感を口にするがうまくいかない。一方ジョゼもその気持ちとは裏腹に恒夫に甘えるそぶりをしてしまう。この依存も恒夫の決心を揺るがせていた。ジョゼの持つ障害は確かに二人の関係の負担となっていたが、最後は、障害への向き合い方を含めた二人の意見の相違がわかれへと進んでいったように思えた。二人の間に合いは確かにあったと思うが、すれ違いゆえに伝わらず悲しい結果となってしまった。結果的に切ない終わり方だがそれだけではないような気がした。人生において別れはつきものでありその別れに向き合い次に進んでいくことが大切になる。ジョゼが一歩踏み出し、恒夫もいずれ歩みだすように私たちもこの映画を通してそれぞれ感じたことを人生につなげてほしい。

20代女性
20代女性

フィルムカメラ特有のファンタジックな映像とドラマチックすぎない結末が良かったです。妻夫木聡さん演じる恒夫は、他人んちのだし巻き卵を美味しそうに頬張る「普通」の男子大学生で、池脇千鶴さん演じる脚に不自由なジョゼの前でも「普通」であり続けたところに切ないですが好感を持てました。「ジョゼの力になりたい、けどどう接したらいいのかわからない」と悩み立ち止まってしまうのも当然だと思います。部屋で本に囲まれて過ごすジョゼはまるでかぐや姫のように儚く、乳母車で移動する様子は浮世離れしています。しかしそれは長年ジョゼを隠して世話してきたおばあちゃんのせいでもあり、望んでそうなったわけではない。ジョゼは、「障がい者は社会の恥であり世間から身を隠して暮らさなければならない」というおばあちゃんの価値観、独りよがりの正義感で彼女に奉仕する上野樹里、彼女と一人の人間として向き合おうとする恒夫の3人の視点を敏感に察知していて、生活の不自由のみならず、純粋な気持ちで他人と繋がれないという対人関係の不自由をずーっと背負ってきたのかと思うと胸が苦しくなります。だからこそ、恒夫とジョゼが笑っている瞬間がとても美しく尊く感じました。

40代男性
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この映画は、レンタルショップへ行くと大抵、「ラブストーリー」のカテゴリーに置かれています。そして、主な出演者を見ても、池脇千鶴・妻夫木聡・上野樹里…という風に、典型的な恋愛映画を思わせます。ところが、実際に視聴してみると先ず、独特の雰囲気に引き込まれることでしょう。そして、よくある恋愛映画とは全く違う、重いテーマを扱った作品だと気づきます。池脇さんと犬童監督によるトークショー付き上映会でも、「この作品は、現代社会の闇を描いているから、万人受けはしない」といったことを、同監督が解説されていました。でも、決して暗い気持ちになる訳ではなく、前向きに生きる姿を役者さんが見事に演じていて、クスっと微笑んでしまうシーンも多いです。また、扱っているテーマが重いだけに、色々な捉え方のできる奥の深い作品です。特に、映画のラストの部分は、ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、視聴者に考えさせる終わり方になっているので、視聴した後の余韻が堪りません。好きな映画は?という質問に、この作品名を見かけることが意外と多いのですが、この奥深さが理由のひとつだと思います。最近ありがちな、若手俳優さんで固めた恋愛映画は飽きたという方に、特にお勧めしたい一本ですね。

 

まとめ

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