ぐるりのこと(映画)の無料動画フル配信｜DVDレンタルよりオススメ

子を失った妻がうつになり、再生までの10年の家庭が丁寧に描かれていた作品。うつ病になり苦しんだ経験のある自分には凄く気持ちがわかるセリフなどがありました。うつ病じに対して、偏見を持つ方が沢山いるかもしれませんが、その時、その病気を理解して寄り添ってもらうことが一番大切だと思います。とても良く、また再鑑賞をしたい作品です。

夫婦の日常を隠し撮りしてるのかというレベルで、演技力が凄い作品でした。この演技力が映画全体の完成度をグッと高めていると思いました。

誰もが不器用で不完全で不細工に生きている。それでも生きているだけで立派であり、傍にいてくれる人に優しく格好つけずに力を抜いて生きていこうと思わせてくれる映画です。「ちゃんとせんでいいから、傍に居て欲しい。」苦しんでいるときに、この言葉でどれほど救われるか。人生の指針になる作品になりました。

自分のすべてを肯定してくれるような作品で、見終わったときには、きっと大切な人の顔が浮かんでくると思います。生きづらいと少しでも思ったことがある人は是非見てもらいたい傑作です。

「ぐるり」なんて可愛いタイトルに惹かれて見始めたら、夫婦の歩みを丁寧に描いた作品で恐れ入りました。妊娠するために「する日」を設けると男の人は欲情しない…なんていうのはセックスレスの夫婦の典型的なパターンとしてよく描かれるテーマだと思いますが、そこで終わらないことに意味がある映画だと思います。法廷画家として活躍するリリー・フランキー演じる佐藤カナオ。その視点によって描かれるその時代の様々な事件。事件が事件が起こって終わるのではなく、法廷へと続き、被害者・加害者ともに未来へと日々は続いていく。夫婦の生活も同じことで、妊活をして妊娠する。しかし流産してしまう。妻が錯乱してしまう。はい、それで終わりと区切ってしまえばそれまでだが、この夫婦は続いていくことを、どうにか選択している。愛があるからっていう一言では片付けられない重みのある日々だ。同じ女性としては、木村多江さん演じる翔子の感情のゆらぎに共感しました。女性というのはどうしてもヒステリックになってしまうことがある生きものなんだなと感じる。一概にいつもそうではないけれど、特に妊娠出産に関することではそうなるのだろう。ヒステリックになっても、ぐじゃぐじゃになった日々でも、愛おしい人と一緒にいることを選ぶという、幸せのかたちをありありと感じる映画だ。

自由奔放な夫、決めることが好きな妻ショウコ。どこにでもあるすれ違い気味だけど仲の良い夫婦。下世話な話を中心に進み、裸体がチラチラと出てくるあたりに、今とは違う時代を感じる。妊娠を機に決めた結婚だが、なんだかんだありながらも、幸せな生活だった。ショウコが流産するまでは。ショウコの流産は断片的に描かれており、ショウコの記憶の辛さを感じさせる。その後、少しずつ少しずつショウコの様子が変わっていく。何かのきっかけが有れば、どこかで救われそうなくらい、何かかどんどんずれていく。そしてうつになり、身体も心もボロボロになっていくのだ。それまでうまく向き合えなかったが、やっと歩み寄る夫のシーン。これまでうまく向き合えてなかった、言葉にできなかった思いをショウコに伝えることは、間違いなく夫婦の前進だと思う。流産もうつも、なかなか公にならないがよくあることで、普通のことだ。それでも「もっともっとうまくやりたかったの」というショウコの重い言葉に「ちゃんとせんでもいい。一緒におってくれ」という夫の愛のこもった言葉は、実に尊い。その後、どんどん力を戻していくショウコの絵が本当に美しい。夫婦で生きるってこんな風だと思わせる映画だった。

観終わった後、木村多江さん演じる翔子とリリー・フランキーさん演じるカナオの夫婦愛がこの映画の見どころだと感じました。翔子はカナオとの間に子どもを授かるシーンは観ていて幸せな気持ちになります。カナオの職が安定しないにも関わらず、子どもを授かったことの喜びの方が大きい翔子はなんて前向きな強い女性だろうと思いました。しかし後にカナオに秘密で翔子が子どもを中絶した後、台風の日に一人家の中でびしょ濡れで佇むシーンはかなり衝撃的でした。最初に強い女性像があったからこそ、彼女が弱っているシーンはさらに印象が強くなりました。さらに翔子は「子どもをだめにしてしまった、どうしてこんな私と一緒にいるの？」と泣きながらカナオを殴るのですが、「好きだから一緒にいたいんだ」と彼が彼女をふんわり優しく抱きとめるシーンでは彼の愛情を強く感じることができます。仕事の不安定や中絶など大変なことが起きても奥さんの翔子を大切に思うカナオの言動がこの映画を優しい雰囲気で包んでおり、心地よい気分にさせてくれました。悲しみのシーンと喜びのシーンのバランスがよい作品になっているため、暗い気持ちを引きずることなく楽しめる作品だと思います。

作品の初めの方で、翔子たちがマッサージ師から聞いた”夫の浮気チェック法”が目から鱗な方法で斬新だと感じました。翔子とカナオが性格が正反対なのも影響するのか、お互いに対していろいろと求めすぎだなと感じることが二人のやり取りで多々ありました。どちらの考えも理解できる部分もあれば、全く理解できない部分もあり、でもそのわからない部分があるのが夫婦というものなんだろうなと感じさせてくれます。翔子の”ちゃんとしなきゃ”という性格が、クモを殺したらいけないとか、何気ない部分によくあらわれていて、こういった強迫観念が自分を追い込んでいくんだなと思うととても恐ろしく感じました。翔子がこらえきれず泣いてる姿は本当にかわいそうで、誰か早くこの辛さに気づいてあげられないのか？とやきもきしました。やっと様子がおかしいことに気づいたカナオに、遅いよ！と思いつつも、うつでどうしていいかわからず苦しむ翔子の背中をさすりながら「大丈夫」と優しく諭してくれるカナオの器の大きさと、温かい言葉に翔子と一緒に涙が溢れました。また、天井画に出会い、だんだんと翔子の表情が穏やかになっていくのが流れからよくわかり、本当によかったなと感じました。キチキチした神経質な妻には、正反対な楽天家な夫が一番精神的な支えになるということをよく教えてくれる作品です。

ある夫婦の10年間を描いた物語で、夫のカナオ、妻の翔子の2人はまだ幼い我が子を亡くしてしまいます。そのショックから翔子は精神を病んでしまいうつ病を発症してしまいます。カナオは常に翔子を見守るように側に居続け、翔子は自分自身どうしたらいいのかがわからず、自分を見失いかけていることが辛くてたまりません。翔子のいっぱいいっぱいになった気持ちをカナオに全てぶつけ、さらけ出したシーンがあり、カナオはそんな翔子を静かに優しく受け入れてあげます。あれで、翔子の心はすごく軽くなり救われた大事な瞬間だったと思います。夫婦は1人ではなく2人なのだからどちらかのどうしようもなく辛い思いも不安になる気持ちも1人で背負子まず、支え合えたならこんなに心強いことはないなと涙が止まりませんでした。翔子はそれから少しずつ自身を取り戻していき、心を満たす時間も持てるようになっていきます。お寺の天井画を描くことを依頼され、絵を夢中になって描いていきます。創作し自分を表現するものがあるのも心の栄養につながるのでとてもいいことだなと思います。出来上がった美しい天井画をカナオと2人で仲睦まじく眺めている場面も素敵でした。この映画のキャッチフレーズ『めんどうくさいけど、いとおしい。いろいろあるけど、一緒にいたい。』夫婦にとってこんなにあたたかく、優しい言葉ないと思います。これが、真実の夫婦の形ではないかと私は感じました。

時代は1993年頃、画家のカナオと翔子は学生の頃からずっと一緒に過ごしている、そんな仲のいい夫婦の話です。第一子を妊娠して裕福というわけではないけど、仕事も家庭も幸せな日常を暮らしていました。少し昔の日本で、日常の中にある光と闇が交差しているような社会。その人にとって何が幸せなのかはその人の感性しか気付けない。翔子は兄夫婦からいつも将来を心配されても自分の幸せが何かをはっきりと分かっているので心配してない様子。そんな中、ある事がきっかけで翔子はどんどん病んでいきました。この瞬間は、体験したことがないけれど一生涯心に残ってしまうんではないかと胸が痛みました。翔子を元気づけるためにも頑張るカナオも頑張る中で苦しんでいる姿はこの二人に明るい未来なんてあるのかとバッドエンドしか想像できませんでした。暗い2人の間にどんどん追い打ちがかけられていってしまったある台風の日、ついにお互いの存在大事さを確かめ合った二人。まるで台風一過の様に2人は穏やかにより愛が深くなっていきました。現実のある一般家庭の愛を描いた映画で、海外映画のような大きなアクションはないけれど、人の愛情が人を支えている事を気づかされる映画でした。

絵を描くことが大好きでいつまでも夢を追いかけている夫・カナオ、お堅い出版社勤めでしっかりと地に足が着いた人生を送りたい妻の翔子。性格的には正反対ながらも上手くやっている佐藤夫婦を、リリー・フランキーと木村多江が絶妙なバランスで演じていました。別れてはよりを戻してを繰り返しているふたりのアツアツぶりは、部屋のカレンダーに書き込まれている赤いx印を見れば納得できるでしょう。転職を繰り返し収入源が安定しないカナオが、お節介な翔子の兄や義理の姉からチクリと嫌みを言われても揺らぐことはありません。自分たちの幸せや価値観を模索していたふたりに、突如として降りかかってくるアクシデントには胸が痛みます。生活のためにしぶしぶながらも周りと妥協していくカナオと、現実をなかなか受け入れることができない翔子とのコントラストも切ないです。犯罪者の顔ばかり描かされる法廷画家からカルチャースクールの絵画講師、お寺の天井画まで。美術館や画廊では決してお目にかかることができない、異色のアートがストーリーの背景として登場するのも印象的です。カナオと翔子は夫婦の絆を取り戻すことができたのか、思わぬ場所で見つけた最高の1枚の絵も見逃さないでください。