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わさび(映画)の内容

映画『わさび』は、2017年8月に吉行和子さんと村上虹郎さんが主演を飾った『春なれや』と同時公開されました。

「モントリオール世界映画祭2014」で正式招待を受けた映画『燦燦ーさんさんー』で長編映画監督デビューを飾り、その後はTSUTAYAのCM演出ほか、PV、コンサート演出等、活動の幅を広げている外山文治さんが監督・脚本・制作を務めました。

本作は、うつ病で苦しむ父のため、実家の寿司屋を継ぐことにした女子高生と、その考えに反対する周囲の大人たちの関係を、美しい飛騨高山の風景を背景に描きだす感動のヒューマンドラマとなっております。決心を固めた主人公の女子高生を芳根京子さん。周囲の大人たちを富田靖子さん、下條アトムさん、杉本凌士さん、中田裕一さん、藤澤志帆さん、松角洋平さんが演じ脇を固めております。

短編映画でしたが、色々なメッセージが詰まっている素敵な作品でした。逆境にも負けずに頑張る葵を応援したくなります。

様々な葛藤や苦悩を乗り越えて成長していくストーリー展開は見応え十分です。ベテランの俳優陣と芳根京子さんが見せる、人間模様と絡み合いが素晴らしかったです。

芳根京子さんは若手女優の中でも最も良い役者の一人だと思っており、本作ではまた違った彼女が見れました。今後も見たい女優です。

これこそ日本映画とよべる俳句的な作品でした。あまり話題にならなかったですが、良作なので多くの方に見てもらいたいです。

あらすじ

飛騨高山の静かな町。高校3年生の娘・葵（芳根京子）は、幼いころから続けてきた野球と進学をあきらめ、うつ病を発症した父・和夫（杉本凌士）が営む寿司屋「やま乃」を継ぐ決心をしました。

この決断に反対し進学を勧める担任の教師や、戸惑いながら葵の人生を本気で背負おうとしない離婚して別居している母・房子（富田靖子）など周囲の大人たち。

そんな葵の前に、かつて所属していた少年野球チーム『高山メッツ』の監督・梅田庄吉（下條アトム）が現れました。さまざまな思いが溢れた葵は、彼に真剣勝負を申し出ます。

見どころ

芳根京子

主演を飾る芳根 京子（よしね きょうこ）さんは、東京出身の都会的なスマートな美少女といった感じがします。順調に女優経験を積み重ねていた彼女ですが、13～14歳のころ『ギランバレー症候群』を発症し、1年ほど学校に通うのも難儀したそうですが、その後克服します。

彼女の“美しくも芯の強い雰囲気”というのは、こういった困難を乗り越えてきた経験が作りあげているのかもしれませんね。

また、彼女が初めて主演を飾った映画『物置のピアノ』から始まり、偶然かもしれませんが“夢や好きなことがあるも、辛い現実とのギャップに苦しむ”という役柄が多い印象を受けます。

30分の短編映画ですが、ほとんどのシーンに彼女が出ており、その苦悩が彼女の卓越した演技力と豊かな表情の変化でしっかりと伝わってきます。芳根京子の集大成と言っても過言ではない。また、ずっと彼女と時間を共有しているような、お得感のある一作となっております。

外山文治

本作は『個人製作』および『個人配給』がなされております。というのも、外山監督がポスター作り、ホームページのデザイン、試写会の手配からチラシ作りまで、すべて一人で手掛けたそうです。

また、その状況にも関わらず主演の芳根京子さんだけでなく下條アトムさんなど、監督自ら出演者の一人ひとりに出演してほしいと直筆の手紙を書くという直接のオファーをされたそうです。本作はもちろん、同時公開の『春なれや』のキャスティングは外山監督の行動力と誠実さのおかげもあるでしょう。

そんな監督は「実際は周囲の方々に支えられているおかげで活動できています。本当に感謝してもし尽くせない想いです」と語っており、胸が熱くなりました。制作費◯●億円！と大々的な宣伝をする大作映画が多いイマだからこそ、本作を応援したいです。

心温まる人間ドラマ。もともとヒューマンドラマ好きな人はもちろんのこと、普段はこういった映画があまり見ない人でも、本作は一見の価値ありです！

スタッフ

監督・脚本・制作：外山文治
音楽：朝岡さやか
撮影：池田直矢
編集：加藤ひとみ

キャスト

山野葵：芳根京子
父と二人で暮らす女子高生3年生。子供のころから続けてきた野球や進学を諦めて寿司屋を継ぐ決心をする。

山野和夫：杉本凌士
葵の父。寿司屋「やま乃」の板前。うつ病を発症し店を続けられなくなった。

小原房子： 富田靖子
葵の母。和夫とは離婚しており、葵を置いて家を出たことを後悔している。

小原健彦：中田裕一
小原房子の再婚相手。少女らしさのない葵を可愛く思えないでいる。

梅田庄吉：下條アトム
かつて、葵が所属していた少年野球チーム「高山メッツ」の監督。

里見祥子：藤澤志帆
葵が通学する高校の先生。

安岡太一：松角洋平

斉藤正子：後藤和歌奈

わさび(映画)の感想

40代女性

主人公は現代の女子高生なのですが、”和”のテイストを強く感じるお話でした。まずは飛騨高山の景色がとても美しかったです。山から俯瞰した壮大な街並み、風情豊かな日本家屋、石畳の道。なんと日本らしい綺麗な街なのだろうとつくづく思いました。そしてタイトルにもある”わさび”と寿司。青春映画でありながら、よくあるそれらとは一線を画し、日本文化の趣を目視できる演出でした。ストーリーは非常に現実的な内容が描かれていて、「みんなが悩み、葛藤しているんだよ」とのメッセージが強く感じられます。キラキラっとした派手さはありませんが、ぜひ若い世代にこそ見て欲しい作品だと感じました。ちなみに主人公の葵は地元に飽き飽きしているようでしたが、こんなに素敵な街はあまりないぞと忠告したくなったものです（苦笑）。でも多感な時期って地元への魅力を感じられず、都会への憧れが強くなるもの。地方出身者の私としては、葵の気持ちも重々分かりました。また葵が信頼を置く少年野球の監督との関係が、とても素晴らしいですね。思春期だからこそ、親や教師には反発したくなるわけで。そんな中でも信頼できる大人が存在しているって、どれだけ心強い事でしょう。葵が羨ましかったですね。葵役の芳根京子ちゃんも、監督役の下條アトムさんも名演でした。

まとめ

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