ふがいない僕は空を見た(映画)の無料動画フル配信｜DVDレンタルよりオススメ

小説が良かったので映画も観ましたが、映画もとんでもなく良かったです。群像劇のような作りなので、原作を読んでいない人は混乱するかも。

この映画はまさに「田畑智子」を堪能するための映画だと思います。コスプレ好きで、好きなキャラに似ている高校生を金で買うという、なかなかぶっ飛んだ役柄ですが、彼女が演じると不思議と違和感がありません。中盤、その男の子がコスプレしてくれて（もともと彼はコスプレ好きでもない）、嬉しさのあまりテンションが上がって写真を撮りまくる彼女に、妙なシンパシーを感じてしまいました。これ、男女逆だと完全にAVだなと思うと、不覚にも爆笑してしまいました。で、その男の子を演じているのが永山絢斗ですが、彼が「ふがいない」とは男子から見るとあまり思えないのです。田畑智子演じる「あんず」に金で買われてSEXしていたり、同級生の可愛い女子に告白されたり、全く「ふがいなくない」です。これだけ顔もスタイルも良くて、女にモテていて羨ましい限りです。結局彼は同級生の女の子と付き合うのですが、最初のキスシーンで女の子の方が積極的でぐいぐい来るのを拒否する場面が、もうサカリがついていた高校時代の自分からすると考えられないです。いうにことかいて「外だから」とクールに言う高校生男子って、なかなか凄いです。ネタバレになるので筋には触れませんが、なかなか考えさせられる映画です。

こういう救いようのない世界と言うのが現実なんですよね。どうしようもない夫から現実逃避しようと高校生とのセックスに明け暮れる、それはもちろん犯罪でやってはならないことですが理由はともあれそんな生活を断ち切って未来に向かおうとしたときにプライベートな動画が出回ることとなって、高校生という多感な時期の彼がもう一度学校に行こうと決意出来た部分には脱帽です。オタクが増えた背景には現実逃避したいと考える方が多くなったことは理由としてあるはず、彼女のプレイを盗撮して息子に見せる姑にはしんそこ嫌気がさします。こんな相手とは別れて正解、でも動画を理由に脅してこられて更にSNSで拡散されてと彼女もまた人格をメッタメタに壊されてしまいます。そして痴ほう症の祖母と二人暮らしで母親からは頑張って手に入れたバイト代を取られてという良太、優しくしてくれたバイト先の年上の男性は幼児へのわいせつ罪で逮捕されるのですから辛すぎます。前半はとにかくセックス三昧で田畑智子さんの脱ぎっぷりの良さを見て、彼女の浮気で終わるかと思いきや次々と出てくる事例に目を離すことは出来ませんでした。人間って恐ろしい、でもそれでも生きていかなければならないんだなと改めて思いました。生きるしか無いのです。

団地在住経験がある人には見ていてグサリと刺さる映画だと思います。団地って狭い世界観から抜け出せなくなりますよね。そこでの評判や評価が自分の全てであるように感じてしまったり…。この映画は今の自分を変えたいとか、会社を辞めたい、近所との関係がうまくいかないから引っ越したいと感じている人にはものすごくマッチする作品です。今いる場所が嫌だから、そこから抜け出すためにコスプレに走る主婦里美。高校生の卓巳と関係を持ってしまうというドロドロした内容ではありますが、里美の辛さやふがいなさが痛いほど伝わってきます。里美は田畑智子さん、卓巳は永山絢斗さんが演じているのですが、2人が醸し出す雰囲気もこの映画ならではだと感じました。2人の関係がバラされてしまうシーンなどは、見ていてものすごく辛くなります。でも、どうなってしまうの！？というヒヤヒヤ感から一気見必須の作品です。あと、コスプレの話がけっこう出てくるのでコスプレイヤーの方は衣装のつくりなどに注目してみるのも面白いと思います。私自身もこの映画を見てから、コスプレって楽しそうだな…と興味を持ったほどです。ストーリーを楽しみつつ、作中に出てくるキャラクターや衣装についても存分に味わえる映画でした。

最初は高校生の卓巳とあんずと名乗る主婦とのただの不倫物語なんだろうな?、と思いながら鑑賞していたのですが、だんだんとこの映画に魅了されていました。主婦のあんずが精神的にも体力的にも追いやられていく様子が見てて辛くて、高校生の卓巳との不倫は彼女にとって唯一幸せな一時だったんだろうな?と思いました。そしてまた卓巳もあんずと一度は別れつつも、あんずの事が忘れられずにあんずとの関係にどんどん引き込まれていく様子は見ててとてもドキドキして、最後はこの二人のハッピーエンドであって欲しいと思えてきました。中盤、卓巳の親友の良太の話がメインになってきますが、自分が恵まれない環境にありつつも前向きに生きようとする良太と嫉妬にかられて取ってしまう行動と、良太二面性が描かれていました。不倫物語とはあまり関係無いような良太のストーリーを敢えて差し込まれた辺りがこの映画がただの不倫映画ではく、人間とはを考えさせられる、内容のある映画になっているように思いました。卓巳の母親が助産師という事もあって、出産というシーンもあったので、不倫、貧困、同性愛などと、正に人間の生と性について描かれた映画だったと思いました。そして何よりもコスプレをしたり若い少年と不倫をしてしまうあんずを演じる田畑智子さん演技力がとてもリアルで迫力があって魅力的だったと思います。

永山絢斗君が主人公の映画なので楽しみに観た映画でした。しかし、序盤からマニアックなコスプレの濡れ場があり、かなり引いてしまいました。一度目に見た時は、濡れ場の印象ばかりが記憶に残り、物語のエンディングも主人公の高校生に共感できずモヤモヤとした感覚になりました。この映画は何が言いたいのかと思い、色んなサイトの口コミやネタばれサイトを見て回りました。他の方たちもショッキングな濡れ場引きずられて、感想は賛否両論入り混じっていました。そんな中で自分なりに分かってきたことは、「人はそれぞれに心に悩みを抱えていて、吐き出せない辛さを昇華するために誰かを傷つけ、その人よりも優位に立つことで安心し自分を保っている」のだという事でした。団地と言う小さなコミュニティーで性、生、妊娠、介護、劣等感、疎外感、それぞれの問題を昇華するために引き起こされる、他人には異常と見える行動も、それぞれの人物の立場を知って見直すと、哀れでかわいそうだと思う気持ちが沸いてきました。主人公の高校生もこのあたり境地にたどり着いたのかなぁと思います。２時間程度の映画に込めるには、重いテーマで、オムニバスのようにたくさんの登場人物の人生が交錯するので内容の濃い映画でした。

人間というのは、誰しも色々な葛藤と共に生きているのだと思います。悩んで苦しんで、色々な選択や決断をして今の自分がいる、普段は考えないようなことを考えさせられる作品でした。ふがいない気持ちというのも、誰にでもあるものだと思います。心を揺さぶられるようなインパクトを感じました。過激な描写もありましたが、この作品の本当に伝えたいことを表現するためには必要だったと思います。もっとソフトにすれば幅広く観てもらえるかもしれませんが、そうしてしまうとこの映画の良さが半減してしまいます。描写に関しては賛否両論あるようですが、全ては必要なことだったと思います。描写の仕方によっては社会的に受け入れ難いことも素直に受け止められたりもするので、表現の世界というのは不思議だと感じました。この映画に関しても、別の視点から描かれていたとしたら、受け入れられなかったかもしれません。登場人物のキャラクターが立っていたのも良かったと思います。個性的なキャラクターが多いのですが、好感が持てる感じでした。生まれた時の環境やその後関わる人というのはとても重要です。生きることや生まれてくること、テーマが壮大で観終わった後は、暫く余韻に浸っていました。

視聴後はリアルさと繊細とどうしようもない喪失感が合わさったような気持ちでした。女性作家の原作小説だけあり、登場人物の一人一人の感情描写が丁寧で映画でもそれをきちんと演出されていたと思います。好きなシーンは卓巳と里美が今までコスプレでセックスをしていたのに、二人の不倫がバレてしまったのに、もう一度出逢い、初めてコスプレ無しでそのままの裸の二人が身体を重ねるシーンです。里美役の田畑智子さんは飛び抜けた美人というわけでもないですし、実際に里美も普通の主婦ですが、このシーンの里美が息を吐くところがものすごくセクシーでドキドキしましたし、二人が溜まらずお互いを求めずにいられないような熱いキスは不倫とわかっていても見ている側もときめいてしまいました。好きなシーンとは別に印象に残った登場人物は卓巳の同級生の福田良太です。認知症の祖母との貧乏な二人暮らしをして、バイト先のお金持ちの先輩の存在に劣等感が刺激され、鬱屈とした生活をしています。自ら何かをしようとしたわけではなかったのに、何かが弾けたように高校の校門で卓巳の不倫事情のチラシを嬉々として配っている姿は共感したいような、こっちまで胸が苦しくなるような気持ちとなり、良太の存在が印象に残りました。

原作を読んだあとに映画化されていることを知りました。田畑智子さんは元々好きな女優さんなので必ず観るつもりでしたが期待以上でした。この作品で初めて永山絢斗さんを知ったのですがすごく素敵でした。私自身も主婦なので、あんず（田畑智子）さんのご主人とのやり取りや義母との関係性は観ていて苦しくなります。現実や今置かれている環境が苦しくて若くてまっすぐな卓巳（永山絢斗）さんに癒しを求めていたのだろうか、それとも本当に愛していたのか。何度観返しても正直どちらとも取れなかったです。その後、卓巳（永山絢斗）さんの友人である福田（窪田正孝）さんの話になります。福田（窪田正孝）さんは家庭環境が貧しい学生なのですが、これが現実だなと感じます。私自身も団地で生まれ育ったので、懐かしい反面ちょっと苦しくなりました。きっとこちらの映画はあんず（田畑智子）さんと卓巳（永山絢斗）さんの話がメインなのでしょうか。私は田畑智子さんを観たくてこちらの映画を鑑賞したのですが、やはり演技がとても素晴らしく大満足でした。登場人物たちが皆ふがいなくて、だけどとてもいとおしい人物ばかりです。レビューを書いていてまた久しぶりに観たくなりました。