セイジ 陸の魚(映画)の無料動画フル配信｜DVDレンタルよりオススメ

演技派のキャストさんたちが集結しており、変に意識することなく、自然体でそれぞれの傷を負いながら癒しを求めて身を寄せ合うように暮らす集落での物語を構築している面白い作品でした。

注目は二人！ただただ見惚れてしまう、短髪でかわいすぎる未來くん。そして、裕木奈江さんは、不思議な魅力のある方でした。

辛く苦しいお話でしたが心に残りました。また、西島秀俊さんの演技が素敵で、この人は影のある役がとても似合いますね。それにしてもラストの衝撃には非常に驚かされました。

監督である伊勢谷さんのセンスなんだろうなと思いますが、劇中の音楽はどれも感じがよくて、画を引き立てていました。

いったい20年前に何が起きたのか？と問いたくなるような始まり方が逆に作品への興味を湧かせましたが、結局ラストは何が言いたかったのか？最後まで謎が残る展開でした。しかし、どことなく陰のある感じが、作品全体にオシャレなムードを漂わせているような映画だなと感じました。特にセイジは寡黙さがオーラを引き立たせてるのか、周りのキャラクターよりひときわ存在感を放っていて、陰のある男の色気を感じることができました。また、西島秀俊さん演じるセイジの肉体美がちらっと映るシーンでは、引き締まった肉体が陰の中で揺らめき、その美しさにドキドキしました。セイジが動物愛護団体の人に淡々と語る内容は、説明が深すぎて、頭で理解するのに時間がかかりました。また、劇中に「鈍感さは絶望を緩和してくれる鎮痛剤」という言葉がでてきますが、この言葉はとても印象的かつ胸に響くものがありました。”鈍感力”はどんな時代でも生き抜く為に必要な力なんだなと改めて気づかされた一場面です。さらに、終盤でりつこの前でセイジが取った行動が思いもよらないものだったので、思わず息をのみながら画面をみつめてしまいました。不思議な陰ある男、寡黙なセイジの魅力が存分に堪能できる作品です。

「セイジ -陸の魚-」という作品は、最初の方は静かな感じでヒューマンドラマのような印象で良かったのですが、ラストに近づくに連れて、翔子のバーの常連客のゲン爺の孫であるりつこが、目の前で両親を殺されて左手を斬られるという凄惨な事件が起こってしまう展開は、意外に感じました。しかし、周辺で連続殺人事件が起こっているという話が出てきており、これが伏線でした。ただ、冒頭の雰囲気が良かったので、こういう展開では無く、セイジを含めて、その周辺の人たちの感情を入り混ぜたヒューマンドラマに仕上げて欲しかったと思います。主人公が見たり、聞いたりしたセイジ像が、寡黙なセイジという男の印象を徐々に形作っていくところは良かったです。セイジの過去が意外とハードでしたが、それ以上にハードな出来事に遭遇したりつこの心の中は空っぽで、その様子を見たセイジが行った行為で、再び生きようと思わせたという流れは強引過ぎる展開かなと思います。キャスト陣は、西島秀俊さんや森山未來さんなど演技派の俳優陣が多数出演していて、このキャストの起用は、キャラクターの性格をそれぞれ引き出せていて良かったです。少し西島さんの雰囲気に頼り過ぎなのかなと感じました。

全てが静かな時間の中で流れてゆく映画でした。内容に関しては、あの時あの時間の別の人の視点だったり、過去が垣間見えるシーンが入っていたり。何より、全てが言葉によって明確に明かされていないので、はっきりした答えや結末を望む人には、分かりづらかったり、モヤモヤが残るのではないかなと思います。主人公の僕は偶発的にあの場所に行くことになったにせよ、それが少しずつ、セイジの深く静かに讃えられる水のような心を揺らしたのは、間違いないと思います。『たくさんのものが見え、全てに絶望している。』『陸の魚、この世で生きることを諦めてしまった生き物。』と、近しい人に語られるセイジ。でも、作中の誰よりも、優しく柔らかく笑う顔が印象的でした。また、僕とセイジがいるシーンでは、セイジが明るい方に、僕が暗がりにいることが多いように感じたのですが、最後の印象的なシーンの前、車で到着したセイジが陰に、僕が陽の光の中にいるのも、これから起こることを予感させられるようでした。その絶望からの諦めのような、達観のような、ただ大切な人と同じ様に共にありたいと思う心が通じて良かったなと思いました。人を選ぶ映画かとは思いますが、作中の人物皆が優しく、それぞれに考えを持ち、尊重しあって生きている話に、ジーンと胸を打たれました。

作中では西島秀俊さん演じるセイジが自らの左手を切り落とすシーンがかなり衝撃的でした。ストーリーの中での大胆な行為はなかなか現実では起こり得ないだろうなと感じましたが、森山未來さん演じた自転車で旅をする大学生は現実にもよくいそうな設定であり非現実的な感じがマイルドになっていました。物語は大学生が自転車で登場するところから始まりますが、大学生の彼が現実的だったため、最初から作品の世界に入って行きやすかったと思います。日常では経験しないような出来事が登場する作品は映画の世界になかなか入っていきにくいものですが、冒頭で誰でも親しみやすい大学生を登場させることで視聴者を最初から作品に引き込んでいくという監督の考えはナイスアイデアだと思いました。作品を観ていくと、大学生やその他の登場人物は皆それぞれ、なんらかの心の傷を抱えて生きているということがわかっていきますが、あまり自分の思いを表に出さないセイジの心の中はわかりにくかったです。しかしラストで自らの体を傷つけてしまうことからは、深い心の傷に悩まされていたのだと感じ取ることができました。セイジも心の傷を気にしながら生きていたとわかり、すっきりとしたラストでした。

早々と就職先が決まって残り1年を切った学生生活を惜しむかのように、自転車のペダルを漕ぐ青年の横顔から幕を開けていきます。都会暮らしに慣れきった軟弱な若者かと思いきや、峠道を疾走するスタミナと予想外のアクシデントにもびくともしない打たれ強さが頼もしいですね。自動車との接触事故が縁で足を踏み入れることになる、山の中に店を構えるバーとそこで出会う常連客たちも魅力的です。好奇心旺盛でストーリーの語り手でもある「僕」を森山未來、多くを語ることのないもうひとりの主人公・セイジを西島秀俊。ふたりの個性派俳優の年齢差と、饒舌さと寡黙さのコントラストによって絶妙なバランスが保たれていました。のどかな山あいの地域にもどことなく暗い影が落ちているのは、連続殺人事件の犯人がいまだに逮捕されていないからでしょう。幼くして両親と死別して身体にも深い傷を負って心を閉ざし続けている少女、りつ子がすべてのカギを握っています。大切な人を失った痛みを他の誰かと分かち合うためには、ありきたりな慰めの言葉や綺麗事だけでは務まりません。セイジが取った驚くべき行動と、ひと夏の忘れがたい経験を乗り越えて一回り大きくなった「僕」の旅立ちを見守ってください。